体外受精

体外受精は本来は体内で起こる受精現象を人工的に体外で起こさせる治療法

卵管や精子に問題があって体内での受精が難しい場合に行われ、「IVF-ET」とも呼ばれます。IVFは体外受精、ETは胚移植のことで、「体外で受精した胚(受精卵)を体内に移植するまで」を指しています。         
治療ではまず、女性の卵巣から成熟した卵子を取り出しますが、成熟した卵子を得るためには、排卵誘発剤で卵巣を刺激する必要があります。卵巣刺激によって良い卵子であっても通常なら体内で捨てられてしまう卵子と有効に使うことができ、妊娠率の向上が期待できます。     

体外受精の妊娠率

受精卵を子宮に戻した場合の妊娠率は30才で38・6%、35才で33・6%、40才では23・2%。年齢とともに妊娠率が下がる一方で、流産率は上昇していきます。妊娠率が高いイメージの体外受精ですが、現実を知っておいてください。

女性の年齢とともに妊娠しにくくなるので、体外受精に進んでからは、30代までは長期戦でがんばるのもいいと思います。すでに妊娠しにくい40代はスピード勝負です。治療一色にならないように、今後の人生設計も考えながらトライしてください。     

体外受精の治療の流れ

体外受精の費用をはじめ、その前後に必要な投薬や注射、超音波検査、血液検査など、すべての費用が保険適用外です。採卵、培養、胚移植など、高度な医療技術が必要なだけでなく、そのための設備投資や安全管理も欠かせない分、治療費も高額になります。
治療費は各施設が決めることができるので、施設によって費用はまちまちに。体調やそれまでの治療の状況によって治療内容が変わるため、人によって費用も異なります。

@薬を使って卵を育てる

超音波検査や血液検査からいつ採卵するのがベストかを決め、より質のよい卵子をとリ出すために複数の卵子を育てます。これにはいくつかの方法があり、女性の年齢やこれまでの経緯などから医師が判断します。卵子を育てる注射や、卵胞の成熟度の確認などのために通院が必要になり、毎日通院する場合もあります。

A採卵・採精

局所麻酔か静脈麻酔をし、超音波で確認しながら、腟から長いカテーテルを挿入して採卵します。採卵後はしばらく休んでから帰宅。

B受精

自宅か病院で、マスターベーションで精子を採取し、洗浄などの処理をします。シャーレに入れた卵子に、培養士が精子を振りかけ、培養器に入れて自然に受精するのを待ちます。

C受精卵(胚)の培養

受精している場合は、卵管内と同じような温度や酸素濃度にととのえられた培養器で育てます。受精した卵を胚といい、順調に育つと、2日目には2〜4分割、3日目には4〜8分割になります。 

D胚を子宮に戻す

腟からやわらかいカテーテルを挿入し、超音波で確認しながら胚を子宮に戻します。戻す
胚は原則1個で、凍結しておいた胚を融解して戻す場合もあります。

E着床を助けるためのホルモン補充

胚が着床しやすくなるよう、黄体ホルモンを補充します。注射や内服、腟座薬などがあり、注射の場合は通院が必要です。

F妊娠判定

胚移植から10日〜2週間後に尿検査(約500円〜)や血液検査(約1000円〜)を行ない、妊娠しているかどうかを判定します。妊娠していた場合は、妊娠を継続させるため、さらに黄体ホルモンを補充。回数により費用は違ったきますが、目安は1回約1万円です。

体外受精の費用 約28万円〜45万円

卵巣刺激、超音波検査、血液検査、点鼻薬、移植後のホルモン補充、妊娠判定などでで約6000円
体外受精で約20万〜30万円
合計約28万円〜45万円
※治療費の金額はあくまで目安です。金額は施設によって異なります。

体外受精そのものの費用に、卵巣刺激や各検査などの費用がかかります。顕微授精や胚凍結をするかどうか以外にも、検査の回数や体の状態による治療内容の違いで費用に差がでます。

体外受精などの高額な治療を受けた場合、治療費の一部が助成される制度があります。

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